「いい会社をつくる社内SNS」として現在2万社が導入している社内SNS「Talknote」。最近はオーバーワーク検知機能などを活用して日々のコミュニケーションを通じて組織の状態を可視化するHRTech企業としても台頭してきています。2016年末からセクションナインとともに顧客基盤の強化に努めてきた同社のITシステム戦略についてうかがっています。
Talknoteは成長中の企業におけるコミュニケーション課題解決ツール
– 吉田:Talknoteはどういうサービスですか?
– 藤井氏:業務で日々利用されるフィードとチャットで構成されている社内SNSシステムで、チームごとにトピックについて密にオンラインで話し合うことができるように作られてます。きっかけは弊社社長の小池が昔飲食店をやっていたときに、成長する会社における従業員同士や会社と従業員間のコミュニケーションに課題を感じて、それを解決しようと思い立って始めたのが最初になります。
– 吉田:ということは当初から成長する企業におけるコミュニケーション課題を解決するツールというコンセプトで作られてるんですね。
– 藤井氏:はい、経営者ってゼロイチのフェーズでは周辺のメンバーとチームでコミュニケーションがうまく回るものなんですけど、少しずつ大きくなるにつれて経営者のメッセージが伝わりにくくなったり、営業や開発が局所最適になっちゃったりするもんなんですね。で、メールニュースなどの発信をやってみてもうまくいかないとか。聞いて見ると成長中の企業ってどこでもそういう課題を持っているらしく。そういう壁にぶつからないようにツールを作ったということです。
実際に導入した企業で業務が円滑に進んだケースも
– 吉田:どういうお客さんが導入するとうまくいくんでしょうか?
– 藤井氏:以前導入してうまくいったお客さんのケースですが、とあるケアサービスで従業員同士がシフト勤務しててその引き継ぎとか申し送り業務で、担当のおじいさんおばあさんがどういうケアのしかたをすると喜んでくれるとか、顔写真などとともにお客さんの情報を共有しあうことで、円滑に引き継ぎができるようになったというようなケースですね。
– 吉田:社内SNSって基本的にサービサーが提供する機能性などで利用者の行動が促されるものですよね。そういう意味で特徴的な可愛いスタンプなどもコミュニケーションが促しやすいですよね。
– 藤井氏:そうですね、たとえば同じような社内SNSによっては「業務効率が上がります」ってうたい文句にしているところもあるんですけど。
– 吉田:それだと片手落ちだと?
– 藤井氏:はい、社内で共有しきれていないミッションを日々意識するようにできるとか、Talknoteを導入しないとそもそも達成ができないような課題解決を手伝えるというのが大きいミッションかなと思っています。
– 吉田:それは大事なポイントですね。
– 藤井氏:最近自分でも、いかに組織と自分が強く結びついているかということの効果がパワフルであるかを感じているので。
重要なのは、組織のトップから現場までメッセージを届ける仕組みづくり
– 吉田:たしかに以前に比べて、開発チームのモチベーションもデリバリーできるスループットも高くなりましたね。私がサポートし始めた頃は技術的な課題だけでなく、少々メンバー同士のつながりがバラバラだった印象を受けました。
– 藤氏井:たしかにきつかったです。タスクフォースでやらなければいけないことを伝えても、感情的な結びつきが弱い状態で進めてもついてこられない人もいるわけで。
– 吉田:従業員と組織とのエンゲージメントが高い状態を作り、維持していくことが大事ということですね
– 藤井氏:そうですね。従業員はこの会社で働けばきっと自分の人生がもっとも幸福になるだろうと思って入社してます。でも会社に入ったそのあとに自分がどう働けば幸せになれるか明確に理解できない限り、良い仕事をして幸せになるって難しいですよね。
– 吉田:一時的な教育も大事ですけど、日々の取り組みはもっと大事でしょうね
– 藤井氏:そういう意味で組織のトップから現場までメッセージが届く仕組みって大事だなと思います。
ありのままを発信しあえる環境も組織として大事
– 吉田:「届く」って意味でいうと藤井さんの女装した写真とか、社内パーティで藤井さんがやらかしてる写真は定期的に上がりますよね。
– 藤井氏:(笑)最近流行ってる言葉でいうと「心理的安全」ですね。ああいうことやっても大丈夫なんだという発信です(笑)
– 吉田:たしかにありのまま発信しあえる状態というのは最低限大事ですよね。そうじゃない組織のほうが多いんですけどね。おかげで一人一人はそこそこ優秀なんですけど、組織としてはバカになってしまうんですよね。なんでこんな当たり前のこともっと早く指摘ないの?みたいな
– 藤井氏:そうですね。これってすごく難しくて、ツールについては単なる技術的な話なんですが、誰かからポストされた提案にコメントなどで十分な反応が起きるかどうか、についてはそういう文化をトップの意思決定で形成できているかどうかも大事です。
エンジニアの時間を価値の高い機能開発に割り当てたい
– 吉田:Talknoteは社内SNSなのでシステムの特性としてはそれなりにコネクションも張られるしダウンタイムも許されないシステムですよね?結構コストのかかってしまいやすい仕組みではあります。
– 藤井氏:たしかにそうなんですが、Talknoteの現状ではインフラコストよりも価値の高い機能開発が必要なフェーズと認識しています。
– 吉田:エンジニアのリソースは有限なので開発者の時間が可能な限り機能開発に割り当てられるようにという考えですね。私の立場で言えば、複数の現場をつねに支援しているので、AWSに関するベストプラクティスはすぐに提供できるのでそういうところを頼りにしてもらってる印象はあり、そのぶん自分たちで責任もって開発していかなければいけない部分に集中してもらえたかなと思います。
次に取り組みたいのはFargate。手間のかかるインフラをいかになくせるかが問題
– 吉田:この1年ちょっとでAWSインフラ的にはだいぶジャンプしましたよね。我々に当初支援を依頼したときはどういう課題があったのでしょう?また、お役に立てましたかね?
– 藤井氏:当時はインフラを担当していたエンジニアが離職してしまった直後だったので、今後の運用やスケールアウトに強い不安を抱えていた状況でした。
いろいろアドバイスをいただいたことで自分たちの課題が明確になり、VPC移行、LambdaやECSの導入、バッチのAWS Batch化などを順調に進めることができた、と思っています。
– 吉田:ほんと一気に進みましたね。VPC移行によって最新世代のインスタンスも使えるようになったし、AWS Batch化でリソース喰いな処理を既存の基盤からオフロードできたのも良かった。次何やりましょうか。
– 藤井氏:Fargateは面白そうですね。AWS側の技術革新をどう適用するかというのが課題なんですが、とりあえずベストプラクティスに合わせていければどんどんコスト効率も良くなっていくので、いかに手間のかかるインフラをなくせるかというのが関心事ですね。そういうところで手助けしてもらえると助かります。
– 吉田:そうですね。クラウドでできるようになることって年々レベルアップしているので、ベストプラクティスをどんどん適用していける組織って強いと思うんですよ。そういう意味では変化に強いトークノートなら大丈夫だと思ってます。
現在の課題はコミュニケーションツール部分の基盤強化
– 吉田:働き方改革などの観点でアクションリズム解析など社内SNSとしての特徴をふまえたHRTechな機能をローンチしていってますが、今後もこういった機能には注力していくんですか?
– 藤井氏:もちろんそうなんですが、まずは土台としてたくさんのお客さんにTalknoteに乗っていただくことが大事かなと思うので、コミュニケーションツール部分の基盤強化が目下の課題です。
100万DAUを達成するのが目標
– 吉田:今後の課題やチャレンジは?
– 藤井氏:当初はトークノート自身の組織サイズくらいに合わせて作っていたのですが、最近は大企業でも使ってもらっているので、ひとつの会社で言えば50人くらいの時点で使い始めて、1000人、10000人と会社が大きくなっても同じようにお客さんに伴走していけるようになりたいです。
– 吉田:それは単純にサーバー台数を増やすだけではダメということですね?
– 藤井氏:はい、それも当然ありますが、たとえばメンション候補が100人ならインクリメンタルに候補が表示されるのも嬉しいですけど、10000人だったらスクロールが大変になるから必要ないって話になりますし、部署とグループの編集だったり、今月従業員が10人入って5人やめましたみたいなときにメンテナンスが面倒だとか。
– 吉田:あぁ、AD連携がないと登録削除だけでユーザー側の工数が大変になりますね。
– 藤井氏:はい、そういったニーズは今まで見えていなかったものも見えてきたなと感じています。
– 吉田:数値的な目標でいうと何かありますか?
– 藤井氏:「100万DAU」の達成です。
– 吉田:それはわかりやすい基準で良いですね。
– 藤井氏:はい。100万DAUであれば現状から努力すれば十分到達できるところだろうなと。それ以上になるとアーキテクチャの見直しや基盤の根本的なチューニングが必要になると思うので。まずは達成させてから、次の夢を見ようかなと思います。
– 吉田:了解です、引き続き応援してます。
— ありがとうございました。